ワイフ四三歳のチャレンジ

ワイフ四三歳にしてのチャレンジは無事成功裏に終わった。コースを修了できなかった参加者がいたかどうかは聞かなかったが、きっと全員が新 たなパスポートを手にしたのだろう。「やっと終わったよ」「ご苦労さん。これからだね」 実は自分自身のなかで講習終了日をはっきり自覚していなかったこともあってか、帰宅後の会話において、いつ終わるのかと何度も同じ質問を訊ねてしまっていた。正直なところ、私にとっての結婚記念日のように、前の日までは覚えているのだが、当日空腹に苛さいなまれながら帰宅した時点では、すっかり頭から消えている。その日は、そんな状況と全く同じであった。 であるから、声掛けは私から先にしていれば、理想的な場面であっただろう。私とし ては、一つのアピールを逃したとも言えそうだ。 私の目には、ワイフの顔が二カ月間の取り組みに対する達成感だけでなく、目標とし た資格取得に対する達成感に満ち、満足感に浸っているように、確かに映っていた。 これまで家族のために、家事中心に奮闘してくれてきた顔とは明らかに違っているよ うに見えた。 ワイフにとっては、新たな世界に立ち向かうことになるのであり、彼女の心のなかは、 チャレンジングな気持ちと幾分かの不安とで、大いに高揚してもいたのだろう。 このような状態を 輝いて見えるH と言ってもいいのかもしれない。 ワイフが当初、介護ヘルパ の資格を取ると口にしたとき、家計の足しになってくれ ればとか、長く働けるための資格があればとかいう。

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